投稿者: 人々の余暇活動や接待の場として親しまれているゴルフだが、その利用環境を大きく左右する存在がゴルフクラブの会員権である。会員権は一種の権利証であり、これを取得することで特定のクラブの施設を会員料金で利用できたり、予約の優先、イベントや競技会への参加など、さまざまな特典を享受できることが一般的である。しかし、単なる利用権にとどまらず、会員権自体が資産として評価される側面もあり、不動産や株式に近い取り扱いをされることも少なくない。個人が会員権を取得する場合と、法人が取得する場合では、取得の意図やその運用スタイルに差異が見られる。例えば、個人の場合は純粋にゴルフを楽しみたいと考えて購入することが多い一方、法人による取得においては、取引先との接待や社員の福利厚生目的で会員権が活用される。
とりわけ法人が取得した場合、企業会計上における資産計上をどのように行うかという点が重要となる。企業が会員権を取得した際には、取得価額を資産計上するのが一般的である。簿価として管理し、必要に応じて減価償却や減損処理などの会計処理が施される。その会員権の内容や活用予定、償却方法によって会計上の扱いが異なったケースが複数存在するため、税務上の取り扱いについても十分な注意を払う必要がある。なお、資産計上された会員権は貸借対照表上に計上され、場合によっては会社の財務体質にも少なからぬ影響を及ぼす。
一方、その市場価値は景気動向やゴルフ場の人気、希少性、周囲の環境変化、会員権の販売状況によって大きく変動する。特に利用者からの人気が高く、予約が取りやすいクラブや、アクセスの良いクラブの会員権は高値で取引される傾向にあり、その価格動向は定期的にランキングとしてまとめられることもしばしばである。ランキングの上位に入るコースの会員権は高額で流通しており、その資産価値の高さや保有のステータスが大なる理由となっている。他方、環境の悪化や経営状況の悪化などにより市場価値が下がり、逆に流通価格が下落してランキングからはずれることとなるケースも少なくない。国内でのゴルフ会員権市場は、長きにわたり経済や社会状況に大きな影響を受けてきた。
その起源は戦後にさかのぼり、はじめは会員募集という形をとっていたが、徐々に権利の売買が一般化され、現在のようにひとつの資産商品として認識されるようになった。当初は経済成長や土地神話に後押しされ、価格が右肩上がりになるケースが散見されたが、その後のバブル経済の崩壊とともに、多くの会員権が価格下落を経験し、市場が成熟期に入ったといえるだろう。ランキングは、一般的に流通価格や取引成立件数、クラブ施設の充実度、交通アクセス、立地環境など複数の観点から総合的に評価される。高ランクの会員権の場合、投資的観点からも注目が集まりやすい。たとえば新規募集がほとんどなく希少性が高いクラブ、クラブ運営の安定性や伝統、歴史が厚く評価されるクラブなどはランキングの常連となる。
これにより資産計上後も年度ごとの見直しや、将来的な転売を考慮した戦略的な保有の判断が求められる場合が多い。しかし、すべての会員権が高値安定となるわけではない。コース運営会社の経営不振や外部環境の変化、サービス内容の低下により価値が急落するケースも過去には発生している。こうした場合には、そのまま減損処理を行い会計帳簿上の資産額を見直す必要が生じる。このような事態に備えて、企業や個人は購入前に会員権の将来価値やクラブ運営方針、利用実態や過去のランキング推移などを十分に調査・検討することが不可欠である。
会員権の用途は単なるゴルフプレーのためだけにとどまらず、人的ネットワークの拡大や社会的信用力の証明、新規取引への足掛かりなど、多岐に及ぶ。これにより企業価値向上や人的資本の形成にも寄与するとの見方が根強い。一方で有価証券や現預金と異なり、市場の価格変動や流動性リスクなども無視できないため、金融資産としての位置づけには留意することが重要である。こうした市場背景のもとで、会員権の取得や保有戦略をめぐっては慎重な判断が求められる。ランキングで上位に位置するクラブの会員権を保有する場合、その資産価値が維持あるいは上昇する可能性が比較的高いが、他の資産と比較して流動性が低い側面もあることを忘れてはならない。
購入前には専門家の意見や市場データの活用、長期的な資産計画の一環として会員権の役割をしっかり見極めることが、納得のいく意思決定につながる。近年のゴルフ会員権市場を総括すると、市場の詳細な分析やランキング動向の把握、資産計上上の慎重なオペレーションが不可欠だといえる。クラブの特色や立地、会員権の資産計上、ランキングによる位置づけ、その資産性や将来価値へ十分に目配りをし、自らの目的や戦略に見合った選択をすることが、安全かつ効果的な会員権取得および運用への道となるのである。ゴルフクラブの会員権は、単なるゴルフプレーの権利を超えて、資産性や社会的ステータス、ビジネス上の活用といった多様な価値をもつ存在である。個人の場合は趣味や自己実現の場として購入されることが多い一方、法人にとっては取引先との関係強化や社員の福利厚生、企業価値向上の手段として重要な意味を持つ。
会員権は取得時に資産計上され、会計上の処理や税務上の扱いも慎重な判断が必要だが、その市場価値はクラブの人気や希少性、立地、施設の充実度などによって大きく変動する。特にランキング上位の会員権は高値で安定し、投資的観点からも注目されているが、一方で景気やクラブ運営状況の悪化などによる価値下落や、流動性の低さといったリスクも伴う。会員権取得にあたっては、将来的な価値や流通性、クラブの信頼性や市場動向を十分に調査し、自らの目的や資産戦略に合わせた選択を行う必要がある。ゴルフ会員権は多面的な価値をもつ資産であるがゆえに、専門家の意見を踏まえ、長期的な視点で活用を検討することが賢明といえる。